看護実習生のためのバイタルサインのイロハ

呼吸測定で分ること

生体の維持に不可欠なエネルギーを生じるため、
各組織での栄養素の燃焼に必要な酸素(O2)を肺から取り入れ、
燃焼の結果として生産された二酸化炭素(CO2)を体外に排出することを「呼吸」といいます。

 

呼吸は、一分間の吸気と呼気の数と深さの状態から、
「換気」の効率を推定することができるため、
呼吸の数と深さをしっかりみることが大切です。

 

(分時肺胞換気量=(1回換気量 − 死腔量)×呼吸数/分)

呼吸測定のポイント>

呼吸は、緊張・興奮、痛み、運動などによって変動します。
変動因子を最小限に抑え、脈拍を測定した後、
患者さんに気づかれないようにして胸郭・胸壁の動きを見て測定を行います。

 

(1) 表情、自覚、随伴症状、体位

 

呼吸困難がある場合、苦悶様顔貌や息苦しさがないかどうか、
鼻翼呼吸・吸気時の肋間鎖骨上窩の肝没、口すぼめ呼吸など努力呼吸をしていないかどうか、
唇・爪・頬のチアノーゼがないかどうか、ばち状指になっていないかどうか、
起座呼吸(座位で努力呼吸)の有無などについて、注意深く観察します。

 

(2) 深さ

 

健康な成人の換気量は、一回あたり500mlほどです。

 

胸郭・腹壁の動きによって「浅い呼吸」か「深い呼吸」かを観察します。

 

(3) リズム

 

呼吸の規則性を観察します。

 

一般的に、安静時は「吸気:呼気:休息期」の割合は「1:15:1」で、
休息期が終わると、再度吸気に戻ります。

 

(4) 数

 

異常がない場合は、30秒間測定して、2倍し、測定値とする事もできます。
ですが、30秒間の呼吸数が5回以下の場合やリズムに異常がある場合は1分間測定します。

 

25回/分以上の場合は「頻呼吸」、12回/分以下を「徐呼吸」といいます。

 

呼吸数は、リズムや深さと併せて観察します。

 

(5) SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)

 

SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)が90%以下になると、
PaO2が60Torr以下になり、呼吸不全の状態になります。

 

SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)の値によって、酸素療法などの対処が必要になります。

呼吸の評価のポイント

患者さんの通常の状態と比較し、呼吸数や深さなどの異常がないかどうかを把握し、
換気が十分であるか、随伴症状から全身への酸素供給は十分であるか、
SpO2の値も含め、総合的に評価することが大切です。

 

呼吸の型と異常

呼吸数と深さの異常

 

・頻呼吸 

 

考えられる状態や疾患は、肺炎、発熱などがあります。

 

・徐呼吸

 

考えられる状態や疾患は、頭蓋内圧亢進、麻酔時などです。

 

・多呼吸

 

考えられる状態や疾患は、通換気症候群、肺血栓塞栓症、呼吸窮迫症候群(RDS)などです。

 

・過呼吸

 

考えられる状態や疾患は、過換気症候群、もやもや病、神経症などです。

 

・減呼吸

 

・無呼吸

 

安静呼気位で、呼吸が一次停止した状態です。

 

考えられる疾患は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。

 

リズムの異常

 

・クスマウル呼吸

 

規則的に深い呼吸が続きます。

 

考えられる疾患は、糖尿病や尿毒症です。

 

・チェーン・ストークス呼吸

 

数秒〜十数秒の無呼吸の後、浅い呼吸から徐々に深い呼吸になり、
また減少して無呼吸にになります。
周期的に変化します。

 

考えられる疾患は、低酸素症、脳出血、脳腫瘍、心不全、尿毒症です。

ケアの際の配慮

呼吸困難の時には、痰や咳嗽(ガイソウ)による全身の疲労、
エネルギー消費量の増加がみられる状況にあるので、
安楽な体位、酸素消費量を踏まえた無理のない援助の実施を行います。

 

また、ケア中の観察、声かけ、ケア後の呼吸や循環動態の観察を行うことも大切です。

 

<呼吸測定後の報告と相談>

 

呼吸測定後、報告をするときには、観察・測定した結果から、
患者さんの通常の状態などを踏まえ、正常か異常かを判断します。

 

異常の場合は、緊急性を要し
すぐに報告しなければならない状態かどうかを判断することが必要です。

 

緊急を要する場合とは、頻呼吸や徐呼吸で、苦悶様の表情、
呼吸困難があり、会話困難、体動困難、チアノーゼを生じているなどの場合です。

 

呼吸停止の場合には、その場を離れず、ナースコールなどで報告し、
すぐに心臓マッサージ、気道確保を開始します。