看護実習生のためのバイタルサインのイロハ

血圧測定で分ること

血圧とは、「血管を流れる血液が血管壁に及ぼす圧力」のことをいいます。
血液を前に押し進める圧力のことで、臨床的にいうと、血圧とは「動脈血圧」のことをいいます。
また、血圧は、血管内圧とも呼ばれます。

 

心臓が収縮すると、血圧が上がり血液が前に流れます。
このとき、血液を押す力と同じだけの力が血液を押し出す心臓の内壁や
血液を受け取る血管壁にもかかります。

 

心臓が収縮した時、動脈壁にかかる圧力を収縮期血圧(最高血圧)、
拡張したときにかかる圧力を拡張期血圧(最低血圧)といいます。

 

血圧は、心拍出量と抹消血管抵抗で規定され、
「血圧=心拍出量×抹消血管抵抗」で求めることができます。

血圧測定のポイント(水銀血圧計・アネロイド血圧計)

水銀血圧計・アネロイド血圧計での血圧測定の原理は、
コロトコフ音という血管音の変化を聴き分けて測定するというものです。
WHO(Wordl Health Organization:世界保健機関)では、
この水銀血圧計・アネロイド血圧計での血圧測定法を推奨しています。

 

血圧音の相(スワンによる分析)

 

収縮期血圧:第1点(音の出現)

 

 第1相 トントンという弱い小さな音から次第に済んだ大きな音になる。

 

 第2相 ザーザーという低い振動性の濁(雑)音が聴かれる。

 

 第3相 濁音は消失してドンドンと短く響く強い叩打音が聴かれる。

 

 第4相 急に音が弱くなり、くすんだ叩打音が聴かれる。

 

拡張期血圧:第5点(音の消失)

 

 第5相 全ての音が消失する。

血圧の測定法

(1) マンシェットの選択

 

測定値は、マンシェットの幅によって変化します。
基本的に、幅が狭いと血圧が上昇し、低いと低下する傾向があります。

 

通常、成人では12〜14cmのマンシェットを使用しますが、
とても痩せている患者さんや、とても肥満の患者さんでは、
幅を変えないと正確に測定できない場合もあるので注意します。

 

(2) 体位

 

血圧を測る時の、血圧計本体の位置は、目盛りを正しく読み取ることができるよう
測定者の目線に合わせておきます。

 

患者さんの腕は、心臓の高さにします。

 

仰臥位、座位で測定するのが一般的です。

 

血圧値は、仰臥位 > 座位 > 立位 の順で高くなります。

 

(3) マンシェットの巻き方・位置

 

マンシェットは、測定する腕の全体をしっかりと露出し、
上腕動脈の真上にゴム嚢の中心がくるように巻きます。

 

きつすぎると測定値が低くなり、緩いと測定値は高くなります。
指1〜2本が入るくらいに巻くと正確に測定できます。

 

(4) 聴診器の当て方

 

コロトコフ音を聴取するので、膜式を上腕動脈に確実に当てます。

 

(5) 加圧・減圧

 

患者さんの通常の血圧値より20〜30mmHg程度上まで加圧します。

 

加圧速度が遅すぎると患者さんに苦痛を与えるので、
早めの適度なペースで加圧し、減圧は一秒間に2〜3mmHgの速度で下げます。

 

血圧を測る時には、なるべく患者さんにはリラックスしてもらいます。
そして、加圧時は、患者さんの顔色なども観察しながら行います。

血圧の評価のポイント

高血圧治療ガイドライン(日本高血圧学会)を元に、測定値を評価します。

 

高血圧治療ガイドラインでは、正常血圧:収縮期血圧130mmHg未満、かつ拡張期血圧85mmHg未満となっています。

 

ですが、血圧測定だけで正常・異常を判断するのではなく、
事前に測定してある脈拍・体温・呼吸の測定値や患者さんの全身状態とともに
総合的に評価することが必要です。

 

高血圧の理由には、本態性高血圧と二次性高血圧があります。

 

本態性高血圧とは、塩分の取りすぎ、喫煙などの生活習慣が関係しています。
二次性高血圧とは、腎臓や副腎、甲状腺などの疾患が原因になっています。
この二つのうち高血圧の原因となっているものは、殆どが、
生活習慣が関係するもの、つまり「本態性高血圧」です。

血圧値の分類

至適血圧: 収縮期血圧 <120 かつ 拡張期血圧 <80 (世界保健機関国際高血圧学会:至適血圧)

 

正常血圧: 収縮期血圧 120-129 かつ 拡張期血圧 80-84 (世界保健機関国際高血圧学会:正常血圧)

 

正常高値血圧: 収縮期血圧 130-139 または 拡張期血圧 85-89 (世界保健機関国際高血圧学会:正常高値血圧)

 

高血圧T度: 収縮期血圧 140-159 または 拡張期血圧 90-99 (世界保健機関国際高血圧学会:軽症高血圧)

 

高血圧U度: 収縮期血圧 160-179 または 拡張期血圧 100-109 (世界保健機関国際高血圧学会:中等度高血圧)

 

高血圧V度: 収縮期血圧 1180以上 または 拡張期血圧 110以上 (世界保健機関国際高血圧学会:重症高血圧)

高血圧のケア時の配慮と報告

血圧測定によって異常を認めたときは、その原因となる影響因子を
疾患や全身状態からアセスメントします。

 

血圧値が高い場合は、それに伴う頭痛や頭重感、動悸などの自覚症状を観察し、
血圧が低い場合は、めまいや意識状態などの有無・程度を確認し、
下肢を挙上するなど症状に応じたケアをすることが必要です。

 

医師に報告し、治療的な対応を求めなければならない場合もあるので、
的確に報告することが求められます。

 

また、実習中に日常のケアとして入浴を予定していた場合など、
血圧の異常を認める際は、入浴などの実施をひかえなければいけないときもあります。

 

単に、血圧値のみで正常か、異常かを判断するのではなく、
合併症に伴う症状への対処が必要ですし、
患者さんを総合的にアセスメントし、的確にケアを選択し、
報告していくことが大切です。